―エコーを用いた穿刺部評価のポイント―
桜橋渡辺病院 循環器内科
住吉 晃典 先生
血管内治療において、穿刺部合併症は患者さんのQOLに大きく影響するため、そのリスクを低減するためには、適切な穿刺と止血が不可欠です。
適切な穿刺を行うためには、穿刺部の状態を正確に把握する必要があります。また、現在主流となっている止血デバイスは穿刺部位に石灰化やプラークがあると使用できないため、止血デバイスと用手圧迫のどちらを選択すべきかを判断するためには、述円に穿刺部を正しく評価することが重要になります。
ここでは、当院でのエコーを用いた術前の穿刺部評価のポイントと、実際の症例を提示して止血方法の選択の基準をご紹介します。
EVTは全例エコーガイド穿刺を実施
TFI穿刺時の注意点
深大腿動脈と浅大腿動脈の分岐部の高さ
大腿骨頭をメルクマールにするが,深大腿動脈の分岐部が高い症例で浅大腿動脈を刺してしまうケースがあるので,エコーで分岐部の高さを確認
石灰化の位置の確認
術前エコーで石灰化が強いと評価された症例は,穿刺前に術者がエコーで再確認
石灰化が血管背側にあるなら穿刺部位は比較的きれいな場合がある
石灰化が背側に位置していた症例
カラードップラー評価で解離腔を疑った症例
短軸:分岐部からCFAを見ている画像
コメント
カラーをのせると一つの血管の中に血流が遠ざかっているものと近づいているものがあるのか、解離腔構造のように見えます。
カラードップラー評価で解離腔を疑った症例
長軸:CFAからDFAとSFAの分岐
コメント
SFAにステントが留置されており、カラードップラー評価ではステント内には狭窄があるように見えます。
短軸評価では解離のリスクも読み取れましたが、最終的にはアンギオで穿刺部にプラークがないことを確認していたため止血デバイスを使用しました。
留置したステントのdistal側にプラークがみられた症例
短軸:12時方向Nodule フタされているみたいに見えている
留置したステントのdistal側にプラークがみられた症例
長軸:Nodule 長軸方向 Stent Distal
EVTを始めた頃から動脈硬化が強い患者さんを多くみてきており,穿刺部管理の大切さを感じていました。 穿刺部合併症を起こさないためには正しい穿刺が不可欠ですが,止血デバイスを有効に使うためにも,エコーを用いた術前の穿刺部の評価は重要だと考えます。大腿動脈穿刺では,深大腿動脈と浅大腿動脈の分岐部の高さに注意すること,また石灰化病変を避けた位置で穿刺をすることがポイントになりますが,これもエコーで確認できます。 エコーの確認は誰でも2〜3分でできますので,緊急症例であっても問題なく実施できます。最近はコードレスのポータブルエコーも登場し,より現場での運用もしやすくなっていますので,取り入れてみることをお勧めします。
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コメント
下方向に少し石灰がついており高輝度にはなってはいるが、穿刺する場所はきれいなため、止血デバイスが使用できると判断。
プラークもせり出しているわけではないため、止血デバイスに影響しないと考えます。